DIYシルクスクリーンプリント!前掛けが欲しい!

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酒屋さんがしている前掛けってかっこいいですよね。
堂々とした立ち姿にはプロフェッショナルとしての意気込みが感じられます。

今回、憧れの前掛けを作るため、
自宅でのシルクスクリーンプリントに挑戦しました。
クロミヤ麦酒の創業です!

■ INDEX(上記タイトル画像を撮影するまでの苦難の道のり)
STEP1 計画
STEP2 手順の確認
STEP3 図案作成
STEP4 透明シートを作ろう
STEP5 露光失敗編
STEP6 露光機作成編
STEP7 印刷

STEP1 計画

参考にしたのは、オリジナルTシャツを作ることができる印刷キット。
その名も、Tシャツくん!ド直球のネーミングです。

必要なもの全部入りなので、これさえあれば
自宅でシルクスクリーンプリントがでてきしまいます。

が、しかし、高い…
しかも22cm×22cmがプリント最大サイズということなので、
前掛けに使うには少し小さそうです。

ということで、
スクリーンとインクのみTシャツくんのものを単品で買って、
あとはDIYでなんとかすることに…

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5枚入りで、3780円。1枚あたり756円です…。
スクリーン自体は35cm×35cmの大きさがあるので、
キットを買うよりもDIYした方が大きな図案を印刷できそうです。

STEP2 手順の確認

まずはシルクスクリーンプリントの仕組みの確認です。
そもそも露光ってなんだという話

図にすると下記のような感じ

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シルクスリーンの上に図案を印刷した透明シートを重ね、紫外線をあてます。
この透明シートが肝です。
シルクスリーンに紫外線をあてるとその部分が固まる(感光)のですが、
透明シートを重ねることで、紫外線があたる部分とあたらない部分ができます
つまり、黒い図案部分(クロミヤ麦酒)は光が吸収されるので、シルクスクリーンまで光が届かない(感光しない)。
一方、透明部分は、そのまま光を通すので感光する。
この差異によって図案をスクリーンに焼付けます。

うまく焼き付けができるとこうなります。

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スクリーンの白い部分(クロミヤ麦酒)は網戸のようなメッシュになっていてインクが下に落ちる。
一方で青い部分はインクを通しません。

そういうわけで、このスクリーンをTシャツの上において、
インクをドバッーと平たくならすと、プリントができる…といった具合です。

はい、手順はこの通りなのですが、
果たして、問題なく進むでしょうか…。

STEP3 図案作成

では作業を始めましょう!

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まずはイラストレーターで図案をつくります。
テーマは、ビール×自転車です。
(No飲酒運転)

「BEER TO THE PEOPLE」は「POWER TO THE PEOPLE」のもじり
そして、ロゴになっているクランクは自転車の動力部です。
つまりPOWERを生み出す所です。

全体としてBEERとPOWERがかかっているんですね!
「今日もBEERを飲んで明日へのPOWERに!」

STEP4 透明シートを作ろう

図案ができたら、次は露光に使う透明シートの作成です。
OHPシートと呼ばれているものを使います。

本来は、オーバーヘッドプロジェクターという機械で使うシートです。
最近あまり見かけませんが、
透明シートに印刷した資料などを壁に投影することができます。
小学校の先生が使っていたような記憶があるのですが、
今でも教育現場では現役なのでしょうか…

Tシャツくんのスクリーン35cm×35cmを最大限活用するため、
図案はA3サイズで印刷することに。
最初に買ったのが、この「トチマン ポリエステルフイルム」

ここでドツボにはまる…
OHPシートにはインクジェットプリンタ用のものと、
レーザープリンタ用のものの2種類あることに注意!
当たり前ですがレーザープリンタ用のものをインクジェットでプリントしても、
インクがドロドロになるだけで定着してくれません。
パッケージの説明をよく読むことは大事です…

そして、あわててインクジェット用に買いなおしたのですが、
ですが、

なんとこのEpsonのシートは透明ではありませんでした。
薄い白です。
2000円が…

結局、業務用のコピー機(レーザープリンタ)をお借りして、
最初に買ったシートを手差し印刷しました。

はじめからそうしたらよかった…

ようやく完成したシート。

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誰かEpsonのOHPシート必要ありませんか…?
あと8枚あります…。

STEP5 露光失敗編

透明シートができたら、次は露光です。

まずはシルクスクリーンを張る木枠を準備をします。
Tシャツくんのスクリーンの大きさを最大限活用するため、
下記のようなサイズの木枠を作成しました
木材はホームセンターにて調達。200円くらい。

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部屋を暗くして木枠にスクリーンを張っていきます。
ガムテープで固定しましたが、
もしあれば大型のホッチキス(タッカー)がいいようです。

作業中、スクリーンに光があたると感光して固まってしまうので注意。
また、しわのないようにひっぱる必要があるので、
木枠は、320×320が可能な限り最大のサイズだと思います。
これ以上、枠が大きいとそれだけ余白が少なくなるので、
スクリーンを張るのがかなり大変です。

しっかりと張れたら、
その上に図案を印刷したOHPシートをスプレー糊で貼り付けます

さて、いよいよ露光です
クリップ電球の光をあて、待つこと5分。
時間が来たら、スクリーンを持って風呂場へ移動します。
水をかけながら、柔らかめのハケでこする、こする、こする。
うまく焼き付けができていれば、図案が浮かび上がるはず…

…。

なんと、

無残にも全て流れ去り、
手元には真っ白なスクリーンが残されました…

露光失敗!

STEP6 露光機作成編

「光をあてれば固まる」くらいに思っていましたが、
どうにもうまくいかないので、ここで露光の仕組みを勉強。

・とにかく紫外線をあててあげることが重要。
・LED電球には紫外線がほとんど含まれていない。

つまり、何も図案が浮かばず真っ白になってしまったのは、
あてている紫外線の量が足りないということ。

もはや後には引けません!
紫外線が足りないなら、たっぷり紫外線を当ててやりましょう

露光機を作ります!!
当初の予定より膨らんでいく予算…

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■露光器の材料
TOSHIBA ケミカルランプ 10W ×2
ベースライト ×2
プラグコード ×2
ベニヤ板
ねじとナット
Amazonの箱
アルミホイル
-----------------
合計 5000円ぐらい

捕虫器用蛍光灯とも呼ばれるケミカルランプは、
駅や公園などで青い光を発しているアレです。
バシバシ紫外線を発しているそうです。

東急ハンズにも在庫がなかったので、
秋葉原まで行き、照明の専門店ミツワ電機さんで購入しました。
あとの材料は、ホームセンターで揃います。

ベースライトは文字通り照明の土台となる部分。
ベニヤ板に穴を開けて、固定します。

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あとは電源コードを半田付けしてつなげれば完成。
半田づけした部分はビニールテープで絶縁しています。

※本当は、ライトを並列つなぎでつなげた方が、
すっきりするのですが、面倒だったので割愛。
2灯なのでそれぞれにプラグ付きの電源コードをつなぎました

はい、無事に点灯です!

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照明部分はこれで完成。
あとは、ライトボックスをつくります。

Amazonの箱をはさみで切って高さ15cmぐらいにして、ガムテープで固定。
そして、光があたりやすいようにアルミホイルでぐるぐる巻きにします。

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うーんゴミっぽい

そして、
照明付きのベニヤ板を重ねたら出来上がりです。

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※ダンボールが大きいため光が漏れていますが、
実際に使用するときは上から布を被せていました。
上から出ているコードは電源に繋がっています。

さて、露光に再挑戦!
これでどうだ!飛び出せ紫外線!

小さな図案で露光時間をかえて、何度か挑戦します。
適正露光時間を知るには繰り返し試すしかありません。

750円を3枚ほど無駄にしたところで、ようやく分かりました。
このセットだと、4分きっかりがベスト!

さて大きな図案を露光し、水あらいをします
ハケでスクリーンをこすっていくと…

ついに…

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図案が浮かび上がってきました!
やったね!!!

ガムテープでスクリーンを張っていたので、
水洗い中に木枠からはずれてしまいました。
印刷するときに、もう一度張りなおせばいいので、問題はありませんが、
やっぱりタッカーあるといいよなぁと思います。

※スクリーンの張りが甘いと、たるみができてしまい、
結果、露光してできる図案もゆがんでしまいます。
とにかく、しっかりと張ることが大事です。

STEP7 印刷

いよいよ印刷です。

Tシャツくん関連のグッズは、東急ハンズ渋谷店に揃っています。
スクリーンもインクもありました。
スキージ(インクを伸ばすヘラのようなもの)は、
Tシャツくん純正だと500円くらいですが、
ハンズオリジナルは200円ほどと少し節約できます。

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■プリントに必要なもの
Tシャツくんインク白(水性)
Tシャツくんインク白(発泡性)
スキージ
ガムテープ
キッチン用計量器
カップケーキ用のカップ(100均で購入)
スプーン(100均で購入)

下調べの段階で分かっていたのですが、
黒地に白のインクだと、濃い地の色に負けて薄い色しかでないようです。
そこで、発泡性のインクを混ぜて使うといいとのことです。

今回は、計量器を使って”白4”対”発泡1”の割合にしました。
発泡の割合が多い方がポコッとした盛り上がりのある仕上がりになります。
しっかり発泡させたいわけではなく、
下地が透けないようにするのが目的なので、発泡性塗料が少なめの配合です。
ちなみに塗料を入れる容器は、
100均で売っていたおかし用のプラカップがちょうどいいサイズでした。

前掛けに印刷する前に、Tシャツでの試し刷りです。
木枠をおいてみて、場所をなんとなく確認。
印刷位置にマスキングテープでマーク。

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ついに印刷…
混ぜ合わせたインクを乗せて、スキージを数回往復します。
とにかく枠がずれないように気をつけること。
(余裕がなさすぎて、写真はありません…)

さて、木枠をどけてみると…

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できた!
多少のムラはありますが、「味がある」ということで全然オッケー!

印刷中は、Tシャツが動かないことと、版がズレないことが何より重要です。
Tシャツの中には、プラスチックの板を入れて、
Tシャツ自体は、ガムテープで机にしっかり固定しています。

前掛けのほうも同じようにして印刷。
こちらも事前に位置をマーキングしておきました。

はい、どうだ

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完成

無事に出来上がりました!

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まずはTシャツです。

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ラグランTなので、袖とのバランスを考えると、
プリント位置もう少し上の方がよかったかという感じ。

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そして…前掛け

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「クロミヤ麦酒」のロゴもしっかり入っていい出来です!

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四苦八苦しましたが、ようやく完成しました。

感想
・光をあてて、インクをのせるだけだと思っていたが、とんでもなく苦労した
・時間もお金もかかる
・露光機が大きくて邪魔
・部屋に置いておいておいても、また使うのか…
・誰かチームTシャツとか作りたい方いませんか?
・格安でプリントします
・お仕事ください

とは言え、自分で作るとだんだん良く見えてくるものです。
苦労した分だけ可愛げがあるような…
結局、作ってよかったなぁと思うのでした。

では、また!

■参考
Tシャツづくりの行程は下記のサイトを参考にさせていただきました。

H O W E * G T R/Tシャツのシルクスクリーン印刷を自作でDIYする方法についてのメモ
http://howe-gtr.air-nifty.com/tamakichi/2009/11/tdiy-41a5.html
自作&手作り Tシャツするよ.com!/★ シルクスクリーンプリント 製作方法★
http://t-shirt.suruyo.com/silk2/index.html

■ 無地の前掛けは下記のサイトで購入。

飲食店ユニフォーム専門店 制服道場!
http://www.uni-work.co.jp/apron/wahuu/ 

データを送ればオリジナルプリントをいれてくれるようですが、
見なかったことにしました。
「制服道場!」というお店から宅急便が届くのは、
心なしかピンクな気持ちがしましたが、
荷物欄にきちんと「前掛け」と書かれており、安心でした。
良心的です。

黒宮 考平

1989年生まれ、東京在住、ゆとり世代。自転車で旅をしたり、木工、シルクスクリーン、小ネタなどジャンルを問わずモノ作りをしています。

作りたいものがあれば、なんでも制作お手伝いいたします!お気軽にご連絡ください。
kohei712@gmail.com

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